「助けて」と言えない

あれはさほど前でもない気がする

6・7年前だったような

僕は美容師見習いだった

 

今でこそアシスタントさんでも一般的なお給料がもらえる時代だが

当時はまだまだそんなによくはなかった

僕が働かせてもらっていたサロンは

周りと比べても良いほうだったと思う

それでも手取りで考えると一桁だった

 

そんな中でもやっぱり男は男

見栄っ張りなんですよ

周りよりも高い服に身をまとって

周りよりも良い車に乗りたかった

そこだけは譲れなかった

 

そしてほしいものを手に入れた僕の

貧困生活がスタートした

 

当時は本当にお金が無くて

車の支払い・家賃の支払いなどで

お給料はほぼ0だった

 

でも人は生きてる限り

食べなきゃ死んでしまいます

僕はあまり体重変動が無いタイプですが

5キロ痩せたときに危機感を覚えました

 

きっとあの時一言

「助けて」

こう言えていたなら

親・友達・僕の周りの人は優しい人ばかり

助けてくれていたに違いない

 

プライドが邪魔をしたのもあったが

本当の理由は別にある、、、

 

とうとう1日1食もまともに食べれなくなった僕は

美容室で働いてレッスンが終わった後

内密にラーメン屋さんでバイトを始めた

 

優しい店主のラーメン屋さんだった

まかないは山のように出してくれた

これが僕の1日のご飯だった

カットのモデルにもなってくれた

僕を地獄から救ってくれた恩人の一人だ

 

ただ怒涛の日々だったことを鮮明に覚えている

 

あくまで美容業に支障をきたしてはダメなんだ

お願いしていた早朝レッスンも引き続き行った

朝6時に起き、夜中の3時までぶっ通しで働いた

1日に睡眠時間は2時間くらいだった

 

だから凄いでしょって話ではないが

我ながらよくやっていたと思う

 

ではなぜ助けてが言えなかったか。

プライドが邪魔をしたからだけではない

 

そこが僕の限界になってしまうと思ったから

 

きっと優しい僕の周りの人たちは僕がお願いすれば

助けてくれる

そして僕は人の助けを覚えてしまう

若いながらにうっすらと感じていた恐怖

あの時の僕にはご飯も食べれず明日が見えないことよりも

睡眠不足になることよりも

自分の限界が見えることのが怖かったのだ

 

でも今だから思うけど

頼っていいと思う。

芯が強ければ一度頼ったからといって

そこが限界にはならない

 

潰れてしまってはお終いだ

潰れる前に一言

「助けて」

を言える相手が周りにいるような

そんな人でありたいな。と改めて思いました

 

でもあの頃の僕よりも今のほうが更によくやっていると思う

日々成長できているだろうか

 

 

今回は小説風に書いてみました

著 芥川達之介

 

 

姫路 美容室

Hair design Angie(アンジー)

TEL:079-290-5410

公式ライン @wzh1975n