僕から大切なものをさらっていく

そいつは唐突に現れて

いつも僕の大切なものをさらっていく

 

そして何も言わずに去っていく

そんなやつだ

 

台風ってやつは。

 

 

 

 

 

あの日もそう。

僕はいつも通り天気予報なんて見てなかった

朝、外は曇っていたが風はそんなに強くなかった

 

でも”あいつ”はいつも急にやってくる

あいつが男ならばきっと女の子に嫌われる

女の子は急を嫌う

 

「今からご飯どう?」

 

こんなのだめだ

こんな誘い方では嫌われる

 

「2時間後ご飯どう?」

 

絶対これだ!!

長く見積もって2時間!

ということで誰か2時間後ご飯どうですか?

 

話が逸れに逸れた

まぁ台風はみんな嫌いだ

 

そんな台風は昼頃から強くなり

夜には収まっていた

 

何事もなく家路についた僕は

そこで思い出したんだ

 

「洗濯・・・」

 

朝干したはずの洗濯を取り込もうと

ベランダに行ったが

洗濯物は無かった

 

「え・・泥棒?」

 

とは思わない。僕は男だ

そしてここは2階だ

 

恐る恐る下を眺めると

全部下の階の人のベランダにあった

 

もう頭を抱えた

これが1回目なら許してもらえるかもしれない

 

だが、もうかれこれ3回目だ

 

きっと洗濯物を飛ばすのが好きだと思われているに違いない

悪趣味だと思われても仕方ないのだ

 

下に降りてピンポンしたが出てこない

もちろん勝手になんか入れないので

僕はポストにメモを入れた

 

「2階の山本です

 すいません。洗濯僕のです。。

 3回目ですよね本当にすいません」

 

なんか2階やら3回やらが渋滞してしまった

 

で、僕少しだけ家を出ないといけなかったので

申し訳なく思いながらそのままにしてたんですね

 

で、仕事から帰ってくると何か家の前に置いてあるんですよ

恐る恐る確認すると

 

洗濯全部畳んで置いてあったんですよね。。

 

もう本当に猛烈にすいません!!

ありがとうございます!!

菓子折り持っていきます

熨斗も付けます!!

 

「洗濯のお礼」

にします!!

 

 

パンツも綺麗に畳んであったのは本当に恥ずかしくて

本当に申し訳なくなった、、

 

 

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